【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
感じが悪いなと、愛香は思った。

(私、何か彼女の気に障るようなことをしちゃったかしら…?)

そう思った愛香だが、ここへきてからまだ30分も経っていない。

その間に自分が琴子の気に障るようなことをしていないとは思うのだが、何が彼女をそうさせているのだろう?

身に覚えのない違和感に戸惑いながら、
「あの…つまらないものですが、よろしかったら」

愛香は母親にサクランボのゼリーが入った紙袋を差し出した。

「まあ、わざわざありがとう」

母親は嬉しそうに笑うと、愛香の手から紙袋を受け取った。

「すぐにお茶を用意するから待っててね」

そう言ってキッチンへと向かった母親に、
「あっ、私もお手伝いを…」

愛香も声をかけて一緒に向かおうとした。

「結構ですよ」

そう言ってさえぎったのは、琴子だった。
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