片思いの相手
神谷蓮華の新しい日常
「おい、ちょっと来い。」

黙ったままの私に葵先生は痺れをきらしたみたい。

腕を引っ張り立ち上がらせる。

『いやっ。』

小さく反論。

でも、腕を持つ力は緩めてくれない。

「いいから。…捕まってろ。」

『きゃぁ!』

そのまま米俵のように担がれる。

食堂にいる全員に見られてるから!

何考えてるの、先生!

『おろしてください!』

背中をポカポカ叩いてみるけど、何の効果も得られず。

そのまま歩き出す先生。

ちょ、何してるんですか、先生~!

「気分悪いんだろ?連れていってやる。」

いつもより少しだけ大きな声で、先生は私に言う。

周りに聞かせるため?

って、そんなことはどうでもよくて。

私は何故、今担がれているのでしょうか?

初めての接触が米俵の気分なんて…。

私の頭はグルグル回って、支離滅裂でした。

< 9 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop