溺愛なんて聞いてない!

「煌!!」


声に反応して見上げた先に、いつの間にか私達の真横に煌がいた。


「っ!!!」
「あちゃーーー……」


小さく溢れたみなみちゃんと立花君の声。
取り巻く不穏な空気に首をかしげた。


それにしても、私の教室に来るなんてどうしたのだろう。
それに珍しく一人だ。
いつもなら周りに誰かしら侍らしているのに。


「煌、どうした?」


とりあえず状況判断。


「……駄犬駆除」
「は?」


駄犬?犬?野良犬でもいるのか?


「そこで否定しか出来ないから駄目なんだよ」


冷ややかな視線を立花君に向けて煌が言う。息を飲んで言葉に詰まる立花君は睨むように煌を見上げていた。


「ま、言えたとしても無理だろうけど。俺のだから諦めろ」
「…………わかんねーじゃねーか」


「ねぇ、何が?」
何?何が!?何で煌まで会話に参加してるの!?


「ねぇー何の話?何で煌まで入ってきてんのよ」
「一花、煩い」


「なっ、煌こそ関係ないじゃん!何いきなり来て口出してるのよ!」
「二ノ宮、ちょっと黙ってて」


「立花君まで何で!?」
「はいはい、お口チャックしましょうねー」


「みなみちゃん!?」
お願い!私に分かるように説明して!

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