俺の王子様
厨房に向かうと渡邊たちと楽しそうに話す声が聞こえた
男の子とも女の子とも捉えられる心地よいトーンの声
肩に届かないくらいに揃えられた髪はダークブラウン
大きな二重の瞳は光に照らされると金緑のように映し出され
昔の面影が残っているが、大人になった姿に体が震えた
声をかけるとうれしそうに笑う声が胸をうつ
こいつの家族が訪ねて来たときは必ず手作りの甘い菓子を作ってくれて、俺はそれが楽しみでもあった
「行くぞ」
早く食いたくて、親父たちのもとに急いだ
後ろをぴょこぴょこ跳ねるのが視界に映る