彼女の一番になる方法。
受付で生徒の声が聞こえる。

そうか、そろそろ生徒たちが来る時間か。

「先輩、今までのところで何か質問あります?」

「ここに生徒情報を入れればいいんだよね、
ファイルは生徒全員分あるの?」

「そうです、ここの最後のページにコメントを書いていただけたら」


ふーん

顔が近い、さっきから顔が近いよー

大学の先輩だからか変に緊張してしまう。


後は校舎の案内かな、


「先輩、ちょっと生徒も来ていますが、
まだ授業が始まってないので、
各教室と自習室を案内しますね」


「さーんきゅ」


「課長―、2階から5階まで案内してきますー」


ひょこっと受付に顔を出してから

エレベーターに向かう。

何人かの生徒が柚子の方を見ている。

今まではどうだったかわからないけど、

ほーらな、と思う。

髪を下した方が可愛いしな、

男子高校生諸君

これが大人の色気ってもんだよ(違う)

「光一先生?何をひとりでドヤってるんですか?」

「いやぁ、可愛い先生がいる塾はいいなと思ってね。
てゆーか、先輩から先生に変わると、なんか違うね。」

「そうですか?
あ!自習室から案内しますね。
一番上です」


ちょうどいいくらいの身長と
サラサラのロングヘア
大きな目

大学生といっても間違えられないくらい
幼さの中に大人なところがあるように柚子のことを思うのは、
俺がこいつの先輩だからなのか。


「ここが、自習室です」

小さい声で話す。

「まだ生徒がぽつぽつしかいないですね」


そこまで声を小さくしなくてもいいんじゃない?

こそこそ話すから、どうしても顔が近くなってしまう。

「せんぱ、光一先生、顔、近いです」


「おっと、ごめんごめん」
< 10 / 25 >

この作品をシェア

pagetop