彼女の一番になる方法。
「なー、もういい?もう終わりでいい?
俺、塾行きたい!」
バタバタ暴れだす俺、客観的に見ても主観的に見てもガキだ。
「なんだよ、そんなに早く柚子チャンに会いたいのかよ」
「そういうわけじゃないけどー」
正直なんでこんなにあのセンセイに興味を持つのかわからないけど
けど可愛いなーと思ってたら気持ちが止まらなくなってるしな。
「やべぇ、裕介面白い!こんなはしゃいでるの、初めて見たわ
おーい、イインチョ、今日俺らもう帰るわ。
とりあえず、背景と必要な小物作ったからさ
あと任せていーい?」
委員長からOkが出たので、塾へ向かう。
「別にセンセイを好きになったわけじゃないからな、ただ可愛いなと思ってただけで」
「ハイハイ、けどこの前彼女振ったばっかりじゃん、あれはやっぱり柚子チャンが好きだからじゃないのー?」
「ちがうから、マジで。あー、お前を塾に誘うんじゃなかった。マジめんどくせーわ。」
「そーいうこと言っちゃう?この前の全統模試、俺の方が偏差値高かったからなー、すねてんだよなー」
「すねてねーよ」
途中でコンビニによって、チキンを買い食い。
いつも塾の授業中、掃除とか受付業務とか一生懸命やっている先生を見るのが好きだ。
尊みたいに面と向かって「柚子チャン」なんて言えないけど、それでも少しはあの人の特別になりたいと思っている。
たぶん年が近いからだな。うん。
塾についた。
「こんちはー」
「はい、こんにちは、裕介くんと尊くん。
今日は二人は、英文法と数ⅡBね。
授業開始は17時だけど、それまでは自習してる?」
「そうっすね、じゃぁ自習室で奥の方の席、空いてます?」
隣を見ると裕介がきょろきょろしている。
ははーん、柚子チャンを探してるんだな。
最近ご執心だからな。
「ねーね、のりかセンセ、今日柚子チャンはお休み?」
「いや、多分どっかにいるはず。なになに、尊くん、気になるの?」
「まあねー、あ、のりかセンセ、自習室カードありがと!
ほら、裕介行くぞ。」