彼女の一番になる方法。
一方、教務室では。
「高橋先生、ここまでの業務で質問あります?」
「いや、大丈夫。夕方さ、昨日から作ってる報告書を本部に持っていくから、戸締り頼んでいい?」
そうか、今日は日曜日だから19時には塾を閉める日だ。
夜、予定入ってないんだよな。
何か材料買って帰るか、外食にするか。
「柚子ちゃんさ、俺今日たぶん19時30分には校舎最寄り駅に帰ってこられるから、もし夜予定がなかったらメシ行かない?
昨日よさげな店を見つけたんだよね。スペインバル」
「いいですね!
終業までがんばれそうです!」
高橋先生がにっこり笑う。
「いいね、柚子ちゃんのその嬉しそうな顔、見ている俺もうれしいよ」
高橋先生に相談してみようかな、桜木くんのキスのこと。
いやいや、生徒とそんなことがあったって、
今後彼が塾に通いにくくなるのもいやだし。
頑張って何事もなかったように振舞っていたけど、やっぱり考えちゃうな。
仕事に集中、集中!
お給料頂いてやっているんだから!
しっかり成果ださなきゃ!
「佐藤先生、この生徒の志望校って最近変更されたっけ」
のりか先生がひょこっと顔を出す。
「その生徒なら、学部を変えただけですよー」
それから夕方までほかのことを考える余裕がないくらい忙しかった。