彼女の一番になる方法。
「せんせー、さよならー!」
「さようなら、お疲れ様―!」
生徒たちが次々に帰る。
「ゆずちゃ、あ、柚子先生、俺もうそろそろ向かうね。また向こうで書類渡して話が終わったら連絡するよ」
「行ってらっしゃいです!」
ほとんどの生徒が帰ったかな。
来校名簿を見る。
今日の授業は1時間前に終わっているから、講師の先生も帰っているし、そろそろ掃除をしようかな。
エレベーターで最上階の自習室に向かう。
あれ、まだ誰かいる?
「桜木くん!」
「あぁ、センセ。やっと会えた。
今日、どこにいたんだよ、本当」
前髪をクシャっとして話す。
「え、どこって教務室とか受付だけど。」
どういう顔をして話せばよいかわからず、うまく目を見て話せない。
掃除をしていると、桜木くんは単語帳を見たり、のそのそ片付けをしたりしている。
「桜木くん、一応閉館時間過ぎてるから早く支度して帰りなね」
「ん~…」
高校生男子って、よくわからない!
「ねぇ、先生、掃除終わった?俺、帰り支度終わったからさ、一緒にした行こうよ。」
「もうちょっと待って、てゆーか、先に下がってていいわよ。そんな私に気を使わなくても」
「大丈夫だから、ほら早く!」
なんでそんな威張っているんだろう。
「はいはい、もうそろそろ終わるから」
よし!終わった!
エレベーターの前で桜木くんが待っている。
「お疲れ、センセ」
「ありがとう」
なんだか、気まずい。
エレベーターに乗って下っているこの瞬間も気まずい。
なにか話さないと、と思った瞬間