桜時雨の降る頃
翌朝、俺はタオルが足らなくなりそうなことに気付いて陽斗のところへ行った。

陽斗が、俺と雫の間にどんなことがあったのかなんて知るべくもないのに

みんな見透かされてしまいそうな気がして、陽斗とはあまり目を合わせられなかった。


「どうしたの、そこ」

俺の少し赤くなった頬を指さして訊いてきた。

「寝てたら、隣の奴の足が飛んできた」


「どんな寝相だよ」

ははっと笑って、陽斗は自分のバッグから余分にあったタオルを投げてくる。

「てっきり、また誰かに告られて、こっぴどく振られた腹いせにやられたかと思った」

ぎくりとした。

いや、告られたとかの話ではなくて、腹いせ、という部分は多分当たっている。

「……ちげーし」

「女の子遊びも程々に」

「だから、ちげーし!!」

陽斗が笑って窘めてくるのをムキになって返していたら、
同部屋の奴らが「朝霧兄が女遊びをしすぎて弟にたしなめられてるぞ」と
やいのやいの騒ぎ出して
めんどくさくなった俺は、逃げるように部屋から出た。

すると、陽斗が「俺も行く」と一緒にそのままついてきた。

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