ヒステリックラバー
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日曜日に正広と会う約束をしていた。といっても私から会いたいと誘っただけで、午前中が仕事の正広は乗り気ではないようだったのをお願いしたのだ。

午後に正広が来る前に買い物に出かけた。
大型商業ビルで春物の服を買って出口まで歩いているとき、すぐ横の店の奥に見えるカラフルな商品に目がいった。その店は下着メーカーの店舗だった。大人の女性をターゲットにした少し高級感のある下着がマネキンに着せられているのに目を引かれた。買う予定などなかったけれど思わず店内に足を踏み入れた。
普段から安い下着を身につけているわけではないけれど、この店に展示された下着は私が持っていないセクシーで金額の高いものが多かった。

新しい下着か……たまには買ってみようかな。今日は正広とも会うしね。

下着を新しく買うことに深い意味はないけれど、普段と違う下着を身につけた姿を正広に見せる瞬間をつい想像せずにはいられない。
私はいつの間にか真剣に下着を選び始めた。





家に帰ると掃除をして正広が来るのを待った。この間酔った正広がいきなり来たことを除けば私の家に来ることは1年近くなかった。
お互いに1人暮らしだけれど、私の家は正広の会社からは遠くて滅多に来ることがない。暖かくなってはきたけれど鍋でも食べようと土鍋がある私の家に来ることになった。

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