聖夜の奇跡


「1回だけ、高校の友人と久々に会ったことがあるんです、珍しく許してくれて!」



ダン!と勢いよくグラスを置くと、うんうんと頷きながら先生がビールを注いでくれる。



「夕方6時に待ち合わせて、すぐですよ。バンバン携帯に着信入って、食事どころじゃなくなって。結局9時過ぎに帰ったんですけど。家の最寄駅でアイツ待ち構えてて、駅前でバシバシ殴られたんです、3時間、たった3時間ですよ?!」

「あぁー、独占欲、醜いねぇ」

「独占欲、ってだけですかね?」

「じゃないね、少し病的」



かなり、私も先生も酔っていたと思う。
他のメンツもちょっと引き気味だった気はするが、酔ってる時はそんなものなんのストッパーにもならないもので。



「やっぱり今日はお祝いだな!離婚万歳だ!嫌なことは全部吐き出して、さっさと次に行く!」

「はい、乾杯!」



がちゃ、ともう何度目かの乾杯を2人で鳴らす。


いつまでも続きそうな私達の雰囲気に、先に帰っていく人も出始めて、今は玉岡さん含めた3人が、机の反対端で楽しそうに飲んでいた。



「何より一番しんどかったのは、笑えと言われたことです」



自分の吐息が、異様に酒臭く、それにすら酔えそうだった。


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