きっかけは




「改めて、今日は私から誘ったのに遅くなってしまってごめんね!」

「いや、お疲れさん」



コツンとコップを合わせて乾杯
可憐は男のようにビールをぐいぐい呑む


「はー!美味しい!」

「相変わらず姉ちゃんの呑みっぷりは気持ちいいな」

「ふふっ、仕事の後のビールは最高よね」

「可憐は酒好きだからな」

「彰も好きでしょ?弱いけど」

「うるせ」


ふふっ、と嬉しそうに笑う可憐の姿に胸の奥がきゅっと摘ままれた様な……

また、だ
この前からの変な感情やら、変な感覚


高梨といい、店長といい変な事言うからだ



「仕事の方は目処が立ったのか?」

「あ、うん、被害も最小限だったしね
それでも、今まで掛かっちゃったけど」



部長が、直ぐに気付いてって言うのは本当だったみたいだ

ほんと、出来た男だよな………

チラッと可憐を見ると、グビグビとビールを煽っていた
ほんとに、コイツがあの部長の女?

不細工ではないが部長ならもっと良い女いるだろ?
なんで、可憐?
しかも、プロポーズ?
プロポーズって、結婚だろ?
一生の女だろ?

今、男みたいに酒を煽ってる女が?
ないない!


高梨よ、やっぱり無いよ
例え、可憐が良いやつでも
もう、三年も一緒にいて
全く、女を感じたことない
むしろ、男らしさを感じてるくらいだ
そんな俺が可憐を女と見るなんて天変地異が起きても無いのでは?





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