きっかけは
「可憐さんと並んでると別世界みたいっすよ!」
「何の話?」
「可憐さん!可憐さんと吉岡さんが並ぶと美男美女でお似合いって感じです!」
「なにそれ?私にお世辞言ってもなんも良いことないよ」
「いやいや、まじっすよ!店長だっていつも可憐さんの事良い女って言ってます!」
「店長は呑める女なら誰だって良い女なのよ」
「また、そんな事言ってはぐらかしてるでしょ!
兄貴は玉砕しましたけど
俺だって立候補したいんですからね!」
「もうっ、年上からかわないでよね!誠くんから入れ知恵されてるだけよ」
イライラする
可憐のくせに何、口説かれてるんだよ
その前に高梨弟も何、口説いてるんだよ
マジ過ぎるだろ
可憐も気付いてるのか、気付いてないのか
高梨弟の顔はマジだった
きっと、可憐は今までもこうやって切り抜けてるのだろうな
その前に高梨弟よ、お前仕事中だろ
店長に怒られるぞ
「高梨弟、お客さん呼んでる」
俺はいつもより低い声で告げた
「あ、すみません、あ、もうっ!高梨弟って~~圭吾です!じゃあ、失礼します」
イライラする
俺のイライラを気付いてないのか、やっぱり人当たりの良い笑顔だった
可憐は今、俺と呑んでんの!
かってに口説くな!
邪魔なんだよ!
ピコーン
1つ、一緒にいる人を「邪魔だな」と思ってしまった