桜の下できみを待つ
「もうやだ」
布団に潜って、
雑音が聞こえないように。
世界からここだけ切り取られてしまえばいい。
この世界から音が無くなればいいのに。
そしたら、お父さんとお母さんが怒鳴りあってるの聞かなくて済むのに。
「もううんざり!!
私にばっかり音桜のことおしつけないでくれる!!」
「俺は外で仕事して疲れてるんだ!!
少しくらい家で休んでもいいだろう!!」
「何よ!!今日だって飲み会だったじゃない!」
「うるさい!!」
目が覚めるとまだ怒鳴り声が聞こえていた。
なんで私はまだ耳が聞こえてるんだろう。
こんな汚い言葉しか聞こえないなら、
もう耳がない方がましだよ。
ねぇ。
「チハル」
今、凄く、声が聞きたい。