サムライ君とメガネちゃん
「りおかどの…りおか…」

…私はハッと我に帰り、彼の手を両手で握り

しめ、叫ぶように話しかける

「テツくん、大丈夫よ!

私は、ここにいるよ!

安心して!」

つい先程、本気で切腹しようとした彼

緊張が張りつめていたんだろうな…

「大丈夫だよ、ね、大丈夫だよ!」

私の声が届いたのか、彼の険しい表情は

徐々に雪解けのようにゆるみ…

かすかに、笑みを浮かべる

私の両手を握りしめる彼の手の力も、ゆっ

くりとゆるんでいく

私はほっとして、体の力が抜けていく

ベッドの脇にひざまづく

涙がポロポロ流れ、頬を伝う

しばし、彼の寝顔をみつめる

「オッホン!」

わざとらしいせきばらいに、私はビクッと

飛び上がり、寝室の入り口に眼をやる
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