泥酔ドクター拾いました。
「それが、かっこよくてさ。俺もこんな先生のようになりたいって思ったのが始まりかな」


ぼんやりとする頭で先生の横顔に釘付けになっていた私に気付いた先生の顔は、一気に真っ赤に染まっていく。

「おっ、俺のことは置いといて。藤代さんは?何でナースになりたいって思った?」

「わ、私ですか?」

思わぬ質問に私は思わず声が上擦ってしまう。

「私の小さい頃、おばあちゃんが入院していて、その時のナースがとても優しかったんです。おばあちゃんにも、私たち家族にも」

「へぇ」

「おばあちゃんが、その担当してくれたナースが大好きで、よく『奈緒も、あんな素敵な女性になってもらいたいわ』って言っていたので。ナースになって欲しいってわけじゃなかったんでしょうけど、気づいたら自分もナースになりたいなって思ってました」


真剣な眼差しで私の話を聞いてくれている先生に気付いて、私はついさっき大和田先生が顔が真っ赤になってしまったことが痛いほどに分かった。


きっと今の私は、顔中、ううん、きっと耳まで真っ赤になっている気がする。

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