泥酔ドクター拾いました。
私は履いていたヒールを打ち鳴らすようにして、共有部分の廊下を私の部屋の前に向かって足を進める。
深夜のマンションに、私のヒールの音がやけに響く気がする。


「あのっ!!お兄さん。また、部屋を間違えてますよ」

仁王立ちに近い形でしゃがみこんだ彼の前に私は立ちふさがる。

けれど、彼は全くと言っていいほど反応することはなく、小さないびきまで聞こえている。


「ちょっと、あなた!!」

仕方なく私は彼の前にしゃがみ込み、彼の肩を小さく揺らしてみる。

目の前の彼は、うっすらと眉間に皺を寄せて苦痛にも似た表情を浮かべる。


もう一度、彼の肩を揺らしてみると彼は重たそうな瞼をゆっくりと開いた。


< 13 / 225 >

この作品をシェア

pagetop