泥酔ドクター拾いました。
「高級フランス料理のコースでも、ごちそうしてくださいね。せ・ん・せ・いっ」

明るく振る舞っているというのに、いつもの真っすぐに伸びた背筋は小さく見えた。

守ってあげたい。

そんな思いがほのかと対峙している時から沸々と湧き上がっていることに気が付いていたのだけれど、気づかない振りをしていた。

気付いた時に抑えきれない衝動に駆られてしまっていた。


「ちょっ、ちょっと、先生…?!」

儚げに笑って見せた藤代さんを、俺は衝動的に抱き寄せてしまう。

抱き寄せた胸の中で、少しだけ抵抗しながら、驚きと戸惑いが入り混じった様な声を彼女があげる。


「無理して笑うな。」

彼女の耳元で呟いた言葉は、苦しさのあまりに自分でも驚くように低い声が出てしまう。

彼女は、その言葉を聞くと抵抗するのを止めた。
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