泥酔ドクター拾いました。
「いや、ですか?」

何言ってんだ、私。
ふいに出てしまった言葉を、後悔してしまった私はワインを一口口に含む。


「嫌なわけない」

「えっ?」

真っすぐに見つめて先生は、私にはっきりとそう言った。
見つめられた瞳が少し揺らぐのが分かって、私は視線を反らせずに見つめあったまま動けずにいる。

本当は飲めないのに、『今日はドライバーだから』って強がりを言って、さっきからノンアルコールばかり飲んでるのに。
酔っぱらうはずのない大和田先生なのに、どこかほんのり頬を朱に染めている。


デザートのムースショコラが運ばれてきて、私はその視線をようやく外すことが出来た。


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