泥酔ドクター拾いました。
マンションに到着して、エントランスを並んで歩くと街灯に照らされた二人の影が長く伸びている。


「じゃあ、ここで。」

なんとなく恥ずかしくなって、集合ポストを確認しようと階段とは逆方向に行こうとすると、進行方向を大和田先生が遮ったから、私たちは向かい合ってしまう。


「さっきの話の続き」

真剣な眼差しで見つめる大和田先生は少しだけ緊張しているのか、息を飲んだ喉仏が大きく上下したのがわかる。


「俺は藤代さんと働きたい」

「……考えます」

そんな真剣な顔して言わないでよ。
私の考えが、揺らぐじゃない。

「……奈緒」
思わず俯いてしまった私にどこか恥ずかし気に、それでもしっかりとした口調で低く響く声が降ってきた。

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