泥酔ドクター拾いました。
「やっぱり一目ぼれっていうところか?」


俺の様子に院長は面白そうな笑みを浮かべている。

「いえ、知り合いに似ていたので」
院長からの指摘に俺は表情を引き締めてみたものの、院長はどうやら俺の言葉を信じてなんていないようだ。


「社内恋愛は禁止していないが、院内では節度を守るように」


いやいや、俺はまだ何も言っていない。

それなのに、着任早々釘を刺されてしまった形になってしまった。


藤代奈緒か。

201号室の彼女の名前を、予期せぬ形で知ることになった俺の頭の中では、先ほど明らかに動揺して顔を赤らめていた彼女の顔が焼き付いて離れなかった。
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