キミの螺旋
【藤紀】の日記は今のオレの《記憶》という名のテキストを作る為に使われたってことを山本先生が言っていた。

でも今、藤紀の部屋で発見した日記は…それ以降のもの。

つまり、彼が死ぬ時まで書かれていたものらしかった。

本当の【藤紀】の気持ちが書かれている…
もうこの世にいない男の日記を読むのは気がひけたが、好奇心には勝てずオレは日記を読むことにした。

そこには彼の本心が書かれていた。

まず学校の事。
進学校であった為に勉強が大変で、それもいつか周りについていけなくなった。

控え目な少年だったらしく友達はあまりいなかったようだ。
日記には友達の話しは殆ど出てこなかった。

そして両親の事…
成績ばかりを優先し、息子の苛立ちを理解しようとしなかった両親の事。父親のプレッシャー。

夫とのコミュニケーションが取れず冷えきった夫婦生活を送り、やがては狂っていった母親…

そして…ある晩、母親と身体の関係を持った。その後、母親を殺そうとして未遂に終わり

彼は自殺した…



気が付けばオレは涙を流していた。

やっぱりオレは【藤紀】じゃない…彼になれるワケがないんだ。

わかってたけど
わからないフリをしていた。
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