キミの螺旋
変わりはてた両親の姿

自らの血にまみれて絶命していた…

そこからの記憶はない。

多分、正気を失ったんだろう…そしてあたしは記憶を失った。

最後に…
最後に見たのが藤紀の顔だったなんて信じられない。

「平田先生が言った事、否定しないの!?平田先生と知り合いなの?!答えて…!」

「…」

藤紀はあたしを廊下の隅、開いていた窓のそばで降ろして言った。

「オレが何をしたか教えてやるよ!!七年前のある日の深夜、ある家に忍びこみ、その家の夫婦を刺し殺した!」

「藤…」

「すぐに捕まって、オレは終身刑になった!一生を塀の中で終わらせるハズだったのに…オレはアイツに再教育されて他人格の【北川藤紀】として外に出される事になったんだ!」

「そんな…バカな事!あり得ない!」

彼の口から出た話しは到底、信じられるものではなかった。

でも作り話しで、こんな事言う人なんかいない

「そうだよ!こんなおかしな話しが他にあって堪るか!でも現にオレはこうして他人になりすましている…!」

確かに藤紀が人を殺して捕まったのなら…外に出られるハズがなかった。

だからこそ、この話しは本当なんだ

彼が犯人なんだって思える…
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