キミの螺旋
また、この吐き気のするような感触──

そう感じる余裕もないくらい無我夢中だった。

「貴様…っ!」

奴は腹にナイフが突き刺さったまま、後退りした。

呼吸が荒く…痛みを感じてきたのか汗を流していた。ナイフの持ち手部分から、滴り落ちる血を見て確実に刺さっているのがわかる。

それでも動いて、この場から逃げようとしていたのは、刺した場所が致命傷にはならない部分だったのかもしれない。

…オレは少し、放心状態だったのかもしれない。山本がドアに辿り着いた時、オレはハッとして再び奴に向かっていった。

「行かせねぇ!」

「はっ…離…せっ!」

オレは奴に抱きつき、前には進ませまいとした。

「ふ…ざけんな…!離せ…っ!」

いくら手負いの男でも、力はある。

奴が暴れてても、大事そうに抱えていた腹のナイフを、オレは夢中で引き抜いた。

それと同時に中から鮮血が溢れ出す…!

「貴様…!ちくしょう…ちくしょう…!離せ…っ…オレの邪魔ばかり…しやがって…っ!

人殺しの…ゴミが…!

このプロジェクトが…成功すれば…金も…名声も手に入れられた…の…に…」

オレは何を言われても奴を離さなかった。
< 378 / 398 >

この作品をシェア

pagetop