キミの螺旋
改まって見つめ合うとドキドキした。

握った彼女の細い指にキスをして…
今度はおれから彼女の唇に触れた。

…上手くできてるのかな?

キスだけで、かなりいっぱいいっぱいのおれ

多分…いや絶対に変な汗もかいてるし!

「普段ならそれでいいけど…愛し合う時はこんなキスがいいよ?」

「え」

そう言うと彼女は舌を入れてきた。

何もかもが初めての感触でワケわかんない…

彼女にされるがまま、しばらく舌を絡ませていたら…だんだんと気持ちよくなってきた。

そのキスを止めても、気持ちよさは残ったままで…おれは彼女をいとおしく思えた。

「ねぇ…名前は?」

「…ユカリ。貴方は確か…」

「新しい名前を聞いた?だけどさ…今は本当の名前で呼んでくれないか?」

「本当の…名前?」

「うん。今だけでいいから、本当のおれを見てほしいから。本当の名前は、'陸'って言うんだ…」

「陸…」

「ユカリ…」

名前を呼び合うと愛し合ってる気がしてくる。

今だけの感情かもしれない
錯覚なのかもしれない

それでも

こんな状況の中なら




刹那的な愛が生まれる事もあるんじゃないかって思った。
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