オフィス・ムーン
遥は、病室の外の廊下で気持ちを落ち着かせていた。
暫くすると大輔が出てきた。
「…ごめんな。驚いただろ?」
「…大丈夫よ。平気」
「無理すんな。…驚いて当たり前なんだから。自分の親だけど驚きっぱなしさ…」
「…ごめんなさい」
「何で遥が謝るのさ」
「だって、大輔嫌がってたのに私が無理矢理お母様に逢わせてって頼んだのよ。なのに…こんな事になって…」
「…ばかだな…お前が気にする事ないんだよ。誰も悪くないんだ。…さ、もう 帰ろう」
「だって今来たばかりじゃない…」
「今、薬で眠ったんだよ。だから居てもしょうがない」
「…」
「…そんな顔するなよ。いつかは、逢わさなきゃってずっと考えてた。だけどあんな状態だし、遥がどれだけ驚くだろうかと思うと…逢わせる勇気が出なかったんだ。」
「…貴方に似ている」
「…ああ」
「…私、大丈夫。仲良くなれないかな。…時間掛かってもいいから」
「ありがとう」
「私、大輔の事、とても愛してるわ」
「なんだよ、急に」
「貴方を生んで、育てて下さった、お母様…」
「…そうだよ。でも 今は壊れてるけどね」
「…変わってしまったのね。変わってしまう前のお母様ってどんな人だったの?」
「…優しくて、強いひと…だと思ってたけど僕はお袋の事知らなかったんだな…弱い人でもあったんだ。」
「…そうかもね。腕に傷痕が沢山あった…」
「リストカット…何度かしたんだよ」
「…病院で?」
「いや、もっと前の話」 「ねぇ…大輔」
「…何?」
「…あの公園に連れて行って欲しいの」
「…いいよ」
大輔は、遥を公園に連れて行った。ちょっと肌寒い…
「やっぱりここからの眺めは、最高ね」
「ああ」
「大輔、」
「私の事、好き?」
「何だよ急に…当たり前だろ」
「…愛してる?」
「ああ」
「ちゃんと言って」
「どうしたんだよ…」
「言ってくれないの?」 「…愛してるよ」
「どれくらい?」
「どれくらいって…そんなのどう表現すんだよ」
「私は大輔の事愛してるわ。世界一よ」
「僕も世界一遥を愛してるよ」
「…大輔、私と結婚して下さい。」
< 83 / 103 >

この作品をシェア

pagetop