*ΒaD boY,SaD girL*
[side:she]
追ってくるはずないと分かっていても振り向いてしまう・・・

何で

何で

何で・・・

どうして、いつも上手くいかないの?

苦しい苦しい苦しい苦しい・・・よ。

人通りのなくなった廊下の角にある水道に歩み寄る。
そして荒く水道をひねった。

ザーーーっ・・・
ザーーーーーー

水が勢いよく流れる。

『げほっ・・・げぇ・・・』

吐き気・・・水道の音でかき消されたが何度も何度も吐いた。

「・・・大丈夫か・・・?」

突然の声に一瞬、体をビクつかせ勢いよく声の方を振り向いた。

『びっくりしたぁ』

よく知った顔にホっとすると水道を止め、笑いながら口をふき向かい合うように立った。

「・・・もしかして妊娠して・・・」

『ははは、二日酔いで妊娠はしないよ(笑)』

笑いながら相手の言葉を遮った。
笑っている里沙と反対に相手は険しい顔をしている。
その顔を見て口ごもる里沙・・・

『・・・吐いたことは誰にも言わないで・・・お願い。』

俯きながら言った里沙の声は少し震えていた。

「わかってる・・・」

静かにつぶやくと震える里沙の肩を抱いた。

「わかってるから・・・から俺の前では無理すんな・・・」

どうして?
付き合い始めた頃は上手くいっていたのにね・・・
傍にいるだけで気持ちが流れこんできたのに・・・

いつからかな?
気持ちが分かりあえなくなったのは・・・


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