*ΒaD boY,SaD girL*
[Uneasiness]
予鈴が鳴り教室には生徒が増えてきた。
周りはザワついていて哉未と里沙の会話もその一部だった。

『なに?』

あまりにも冷静な里沙の声に、また苛立つ。

『昨日、電話したんだけど』

自分から謝ろうと思って電話をかけた・・・でも着拒されていた。

『ふ~ん』

そう言って哉未から目を背けると、また鏡を見ながら髪をさわりだす。
里沙の仕草、言動すべてに苛立ちを覚えた。

『何でそんなに苛ついてんだよ』

哉未が言う。
二人の言い合いに気づき舞美と宇田と智貴が寄ってきた。

「ちょっ・・・あんた達なに喧嘩してんの?らしくないよ?」

焦りながら二人の間に入る舞美。
里沙が怒っているならともかく哉未が、こんなになるのは初めてだった。

『別に。あたしは普通だよ』

『普通じゃねえし!ちゃんと言わねえと分かんねえだろ!?』

声を張り上げた・・・哉未の声で今までザワついていた教室がシーンとなる。

「お前らマジどーしたんだよー」

智貴が困ったような声を出して哉未を止めようとする。

『うっさいなぁ。あんた見てると苛つくんだけど』

里沙は哉未の方を見ようともせず言う。

『ワケわかんね。生理中すかぁ?』

皮肉まじりに笑いながら言い放つ。

ガタッッ

里沙が机に手をつき勢いよく立ち上がった。

『そーゆートコまじ無理』

里沙は哉未を睨みつけた。

「里沙!」

ばん!!!と大きな音を立てドアを閉めると教室を出ていった。

『見てんなよ。殺すぞ』

冷ややかな目で周りを見た。

『くそ』

ガタンッッ・・・

近くの机を蹴ると哉未も教室を出ていった。
あの時・・・一瞬、違和感を感じた・・・。
でも頭に血が上っていて考える余裕がなかった。

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