*ΒaD boY,SaD girL*
[PM10:00]
PM10:00

バイトが終わって店から出た。
外は当然ながら真っ暗で息を吐くと白くなった。
ふと見ると外で里沙が待っていた。

『話あるんだけど』

久しぶりと手を振りながらそう言った里沙は笑っていた。
こんな寒い中どれくらい待っていたんだろう・・・

『・・・俺も話ある』

笑っている里沙が何を考えているか分からないといった感じで困惑な表情を浮かべた哉未。
そのまま二人は近くの公園に向かって歩きだす。
暗い夜道、歩く二人の姿は恋人のようなのに、どこか素っ気なかった。

『『あのさ…』』

二人、一斉に話しを切り出す。
寒いのに公園には何組かのカップルがいて二人もその一組だった。

『…哉未から言って』

里沙が先に哉未に話させようと促した。
そんな里沙を冷めた目で見つめる哉未・・・

『あのさ・・・』

数日間ずっと考えてた。

里沙はどういう反応をするのかなって。

『別れよう』

吐いた息が白くなって暗闇に消えていった。

里沙は怒るかな?
驚くかな?
泣くかな?
泣けばいいのに・・・『いいよ』

里沙は顔色ひとつ変えず、そう言った。
一瞬、手を握りしめたのを哉未は知らない。
こんなに寒い中待っていたのは・・・本当にそれが言いたかったから?
別れを告げてしまった今、哉未には確かめる余地はなかった。


< 30 / 85 >

この作品をシェア

pagetop