*ΒaD boY,SaD girL*
[Separation]
『あたしも、それが言いたかったの。』

暗闇の中、電灯に照らされた里沙は目を細め口元を少し上げて笑った。
こんなふうに笑う里沙を見たのは・・・初めだったかもしれない・・・

『じゃあねバイバイ』

里沙は哉未に笑って別れを告げると背を向けた。

『・・・・』

言葉が出なかった。
自分で切り出したのに・・・あまりにも簡単な終わりに・・・
何だろうな・・・ちょっとだけ期待?してたワケよ。俺。

もしかしたら泣くかなって。『別れたくない』って。

眉間に皺を寄せる哉未。
いろんな考えが頭をかけめぐり・・・頭が真っ白になって・・・

『・・・お前さ・・・宇田とできてんの?』

皮肉そうに言い放った。

こんな事が言いたいわけじゃない
こんな事が聞きたいわけじゃない
でも最後に出た台詞がソレだった。

里沙は背を向けたまま一瞬立ち止まった。白い息を吐いては消えていく。

『・・・・』

でも何も言わず歩き出すと行ってしまった。表情も何も分からなかった。

でも、これが答えなのか?

『・・・こんなんもんだよな』

呟いた。
しかし言葉とは反対に哉未の表情は険しかった。
去っていく里沙の後ろ姿を見つめる。
どうせ別れなんて遅かれ早かれやってくるんだ。
でもずっと前から終わってたのかもな。俺たち・・・
吐いては消えていく白い息。暗闇に消えていく里沙の後ろ姿を立ち尽くしたまま、ずっと拓未は眺めていた。

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