*ΒaD boY,ＳaD girL*

[Impatience]

何だこの苛立ちは・・・
気がついたら宇田の胸ぐらをつかんでいた。

宇田が里沙を泣かせたのか？

俺のためには泣かない里沙が宇田のためには泣くのか？

なんて自分勝手で理不尽な理由。
哉未は何も言わずに宇田を睨み付けた。
宇田は、そんな哉未の目を逸らさずジッと見ていた。

『ちょっと・・・哉未！』

里沙が焦りながら哉未と宇田を離そうとする。

『お前・・・何で泣いてんだよ！』

哉未が静かに口を開く。

『・・・』

「・・・」

黙り込む里沙を宇田が横目で見た。
その様子を見ていた哉未は、ますます苛立ちを覚えた。

『俺には言えないんだ』冷ややかに笑う。

『なぁ。』

宇田から手をぱっと離した。

『お前ら、いつからこんな風に会ってたの？』

口許をあげて言い放った。
一瞬、里沙の顔が強張る。
それを見て宇田が眉を歪めた

ムカツク
ムカツク
ムカツク

『俺の事ずっと二人で笑ってた？』

淡々と話し続ける哉未に宇田は何も言わずに立っていた。
里沙は俯いていて表情は分からなかった。

『自分だって浮気してたんじゃん』

ガシッッ！

胸ぐらを掴まれた。
いつも無表情の宇田が感情をあらわにして哉未の胸ぐらをつかんでいた。

「お前っ・・・！」

『やめてっ』

何か言いかける宇田の声を里沙が遮る。
胸ぐらを掴む宇田の手がゆるむ。

『・・・』

里沙は俯き加減のまま二人の間に入り止めようとする。
それでさえも今の哉未には苛々の元凶にしかならなかった。