*ΒaD boY,SaD girL*
[Sluggishness]
部屋から看護師が出て来て二人の前に立つ

「三森さんのご主人は、どちらですか?」

宇田と哉未を交互に見ながら言う看護師。
宇田と哉未は顔を見合わせた。
どうやら看護師は夫婦と思っているらしい。

『あー・・・』

哉未が口を開く。
看護師は哉未を夫だと思ったのか話しはじめる。

「残念ですが・・・」

哉未は手に汗をにぎる・・・

「出血がひどくて・・・」

里沙は、どこもケガしていたわけではないが・・・宇田と哉未は黙って聞いていた。

「奥さまの体は無事だったんですが・・・」







病院の外にすごい勢いのバイクが止まると同時に、すっぴんでスエットのままの舞美とバイクのヘルメットを持ったままの智貴が息を切らしながら病院内に入ってきた。

「っ里沙は・・・?」

息きれぎれに問う舞美。
宇田は無言でソファーの上に右足を上げ右膝に頭を突っ伏していた。
哉未は、脱力した様子で自分の手の平をボーと眺めていて何も言わなかった。

『・・・・』

看護師が言った言葉が頭の中をかけめぐる・・・・

頭の中が真っ白になっていくようで
体中の力が抜けていくようで
何も考えられなくて・・・

でも胸の奥が苦しくなってしょうがなかった。


< 46 / 85 >

この作品をシェア

pagetop