*ΒaD boY,SaD girL*
[Sympathy]
哉未は里沙の眠る病室の前に来ると迷いながらもノックした。

返事は、なかったが昨日の今日で寝ているのだと思いドアをひく。

『・・・っ』

声にならない音をあげた。
里沙はベッドから体を起こし外を眺めていた。

『起きてたんだ?』

哉未は、ぎこちなく笑い里沙の元へ寄った。
里沙は変わった所は、なく笑っていた。

『お昼には病院出れるって』

里沙は微笑みながら言う・・・しかしどこか表情は、堅い。

『そっか。よかったな』

哉未はホッとしながら笑う。

『だから・・・哉未は帰っていいよ』

里沙は眉を歪めながら困ったように笑う。

『え・・・?』

『ね?もう帰って?』

里沙は帰れと言う。哉未は何を考えているか分からないといった感じで里沙を見た。

『もう知ってるんでしょ・・・?』

里沙は俯く・・・表情は分からない。

『赤ちゃんの事・・・』

里沙の声は掠っていた。

『あたし達、別れたんだからっ・・・』

里沙は哉未の体を両手で押しながら声を張り上げた。

『同情とか変な気つかったりとか・・・そんなの、いらないっ』

『帰って・・・』

言葉が出なかった。
里沙の体は震えていて力なく自分を押す力がどうしようもなく弱々しい。

『・・・・わかった』

この気持ちは同情なのかな?

違う

でも里沙の前で否定できなかった。

『・・・ごめんな』

哉未は部屋を出ていった。

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