*ΒaD boY,SaD girL*
[Graduation]
不思議と胸のモヤモヤした感じはなかった。
反対に里沙の言葉に頷いてしまった。
本当の気持ちは・・・里沙と、あの頃のように戻りたい。
でも、それはあまりにも無責任な事だから。

『俺は里沙に謝りたい事が、たくさんあるんだ』

言葉だけじゃ足りない、後悔してもしきれない、たくさんあるんだ。

『ごめんな・・・』

傷つけて

傷つけて

傷つけて

やっと気がついたんだ。どれだけ里沙が大切かって・・・それが伝えたかった。

ごめん。

そして

『ありがとう』

“好きだ”

それは言えないけど

『幸せになれよ?』

これが俺が傷つけてしまった里沙に言える精一杯の言葉だった。

『哉未もね』

二人で笑った。

これは別れなんかじゃない。
もう付き合っていた頃には戻れないけど付き合う前の友達だった二人に戻っただけ。
別れ際里沙が言った

『ねぇ哉未の未来にあたしはいた?』

俺が何も答えられずいると里沙はフッと笑って帰っていった。
その時の里沙の顔がずっと頭から離れなかった。

この日、二人は“卒業”した。

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