*ΒaD boY,SaD girL*
[...3 years later]
3年後

某バー

一番、客の多い時間を過ぎ段々と客足は減ってきた。

「哉未ーもう上がっていいよ」

『うーっす』

先輩の言葉に哉未は頷くと更衣室へ向かった。
哉未は高校を卒業してからこの店でバーテンとして働いている。
先輩たちからも可愛がられていたし今では仕事にも慣れ、哉未目当てで店に来る客もいるくらいだ。

『お先しまーす』

制服を着替え先輩たちに声をかけると車の鍵を片手に店を出た。
車に乗り込みエンジンをかける。
時間的に車の通りは少ない。
最近は、こんな調子で朝と夜が逆転した生活だった。

~~~~~♪

ふとラジオをつけると懐かしい曲が流れていた。

『my boo…』

哉未は曲名を口にしながら昔を思い出していた。
宇田や智貴とは、ここ1年あっていない。
もちろん里沙とも会ってなかった・・・。

『どうしてるかな・・・』

そう思って、いつも携帯に番号を出すが通話ボタンを押す事は、できなかった。

『・・・』

マンションの駐車場に車を止めエレベーターに乗り込む。

『・・・』

口にタバコを運びながら家の鍵をあける。
今でも母親と住んでいるが哉未が帰ってくるのは朝方なので顔を合わす事は、あまりなかった。

『ん?』

電気をつけながらリビングに入ると、テーブルに何通か郵便物があった。

『・・・』

ソファーに、どかりと腰かけタバコ片手に郵便物を適当に目を通す。

携帯会社

車の保険

勧誘はがき

ショップのDM・・・

『えっ!?』

おもむろに手を取った封筒を見て哉未は、くわえていたタバコを落としそうになった。


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