*ΒaD boY,SaD girL*
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里沙の笑顔に呆気にとられた
いや・・・里沙の態度が当たり前なのかもしれない。

あの日・・・卒業式の日、友達に戻ると決めたのだから、変に緊張した自分がおかしいのかもしれない。

『久しぶり』

肩の力が抜けた哉未は微笑み、そう言うと里沙の元へ歩み寄った。

『元気にしてたか?』

『まあね。哉未は元気してた?』

『ああ』

哉未が頷くと二人は自然に並んで歩き出した。
里沙は今、一人暮らしをしていてエステの学校に通っているらしい。
他愛のない会話の中から知る里沙の今。

『舞美、こういうとこで式あげるの夢だったんだって』

微笑みながら言う里沙の横顔を哉未はチラリと見た。
確かに綺麗になったが3年前と変わらない表情や仕草に哉未は安心したような感覚を覚えた。

でも、その中で里沙は少し雰囲気が変わった気がした。

柔らかくなったというか・・・

彼氏が出来たのだろうか・・・?

ふと哉未の脳裏にそんな考えがよぎった。
3年も立てば彼氏の一人や二人できるだろう・・・。
軽いショックと同時に胸につっかえるモヤモヤした気持ち。
それが“嫉妬”なのか、それとも“執着心”なのか哉未は整理できずにいた。

『どうしたの?』

黙り込んでいた哉未に里沙が不思議そうに問う。

『いや』

我にかえった哉未は苦笑いを浮かべた。
二人がチャペルの周りに近付くと人が沢山いた。
そろそろ式とパーティーが行われる時間だ。

『中はいろっか』

里沙が哉未に背を向け少し前を歩く。
ぼんやりと里沙の後ろ姿を眺めていた哉未は何だか寂しい気持ちになった。

がしっ

哉未は何故だか無意識に里沙の腕を掴んでいた。
驚いたように目を見開き振り返る里沙。

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