生存税
古坂町



「ここが、僕の新しい家か。」



菊池隼。23歳。
黒髪で四角眼鏡の何処とない抱擁感がある優しい青年。


その正体は、発行部数600万部は優に超えるそこそこ有名な漫画家。



若くしてここまで売り上げを持ち、幾つか余裕が着いて、この町へ引っ越してきた。




一人で住むのがもったいないくらいの大きな二階建てに新しく拠点を置いた。



生まれたころからずっと23年間都会にいた隼にとって、この古坂町は新鮮である。



古坂町は田舎であり、ビルもなく一面田んぼだらけの静かな町。ビルどころか、高い建物もほぼない。古坂町一面を見渡しても、ずっと平地で。




「はぁ..。」




息抜きをしたかった。

都会は新しいものばかりで着いて行くのがひと苦労だった。やっと周りに追いついたと思ったら、もうすでに周りは進化を遂げていて。




そもそもマイペースな僕には最初から都会なんて向いていなかったはずだ。


一人でいつもぽけっとしてるのが好きだし、ファッションとか全く興味ないし。



漫画が掛けるならそれでいい。

田舎くらいが最初から丁度よかったんだ。


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