オリオン
シンが最後に残してくれた宝物。
私を一人にしないように、シンが私の体に一つの命を宿してくれた。
「俺がお前らの面倒見るから」
「私はこの子がいれば大丈夫」
「面倒見させてくれ」
彰は私に頭を下げた。
「でも…」
「シンは俺の実の兄貴だ」
シンと彰は腹違いの兄弟だった。
彰は家族のことを詳しく話そうとしたけど、私は聞かなかった。
シンの口から聞かなかったことを、彰の口から聞きたくない。
それに、私にはこの子がいればそれだけでいい。