オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
「なんか新卒の時に見た桜を思い出すなぁ」

「新卒?」

「うん。初めて見た東京の桜だったんだけれど、すごくおしゃれに見えてねー」

「そうか、逢坂は地方からだったっけな」


ひそかに同意を期待していたけれど、このクールな返答。ふん、東京出身の都会っ子め。


「向居は桜の季節に思い出とかある?」

「思い出?」


向居は顎に手をあてた。
眉間に皺まで寄せてしばらく考えた挙句、あっさりとした回答をした。


「ないな。むしろ」


向居は遠くを見つめる目をした。


「桜の季節は悪い思い出しかない」


そう意味深な返答をした向居の目は、桜よりも青空よりも、もっと遠くの景色を見ているようだった。
まるで、古い痛みを思い出すような影を忍ばせて。

どうしたんだろう…?
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