オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
「買えば?」

「うーん。でも使い道がねぇ…あ! この手鏡もかわいいなぁ…こっちの方が使うかな…」

「…使うのか? それ」

「う…ちょーっとかわいすぎるかなーぁ、あ、じゃあこれ…」


と、所狭しとお土産物が並んだ店内をうろちょろ。

結局気に入ったのがなくて、別のお店をもう一軒。
これまたなくてもう一軒。

…なんて。
梯子した挙句、なにも買わないで終わるのも、旅行のお約束よね。


「おい…いったいなにしに入ったんだよ」


最初は私のはしゃぎっぷりを面白そうに見守っていた向居も、私が何件目かの店から手ぶらで出るなり、あきれ顔でもの申してきた。
私は悪びれることなく、ふふんと笑う。


「女子のお買物はこういうものよ。買うだけじゃなくて、買うまでも楽しいの!」

「…出た。自称女子の理解不能性質」

「はいはい、カレシさんは黙ってついてきてくださーい、じゃ、次はあのお店ね」

「っておい、ちょっと待て」


すたすた歩いていこうとした私の手を、向居がつかんだ。
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