オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
『ごめん…』と一言私が謝ると、基樹はさっさと部屋を出て行った。
今思えば、あそこで私が謝った時点で、すべてが終わったのだと思う。
あそこで泣き喚いて『どうしてそんなこと言うの』、『基樹のことが誰よりも大切』だとすがれば、基樹はまだ私を可愛く思い、私たちの今後にはまだ続きが残されていたのかもしれない。
けれども、あの時の私は、悲しいのに涙が一粒も流れず、どこか冷静だった。
認めよう。
もう、涙が出るほどの想いは無かったんだ。
とっくの昔に、基樹への想いは消え果てていたんだ。
基樹と過ごした数年間。幸せだった日々は確かにあった。
基樹との別れは悲しくないと言ったら嘘になる。
けれどもそれは、胸を切り裂かれるような恋に破れる悲しさじゃない。暗闇に取り残されるような寂しさ、不安感に似ている。
そう、私が確保していたかったのは基樹ではなく『恋人がいる』という事実だけ。
私はただ、独りになるのが怖かっただけなんだ。
今思えば、あそこで私が謝った時点で、すべてが終わったのだと思う。
あそこで泣き喚いて『どうしてそんなこと言うの』、『基樹のことが誰よりも大切』だとすがれば、基樹はまだ私を可愛く思い、私たちの今後にはまだ続きが残されていたのかもしれない。
けれども、あの時の私は、悲しいのに涙が一粒も流れず、どこか冷静だった。
認めよう。
もう、涙が出るほどの想いは無かったんだ。
とっくの昔に、基樹への想いは消え果てていたんだ。
基樹と過ごした数年間。幸せだった日々は確かにあった。
基樹との別れは悲しくないと言ったら嘘になる。
けれどもそれは、胸を切り裂かれるような恋に破れる悲しさじゃない。暗闇に取り残されるような寂しさ、不安感に似ている。
そう、私が確保していたかったのは基樹ではなく『恋人がいる』という事実だけ。
私はただ、独りになるのが怖かっただけなんだ。