オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
こんな私のことなど、基樹が嫌いにならないはずがない。
その証拠がこれだ。浮気されみじめに軽んじられた挙句、仕事のための努力さえ利用された。


「ほんと馬鹿だな…」


思わずひとりごちてしまうほどに痛感する。己の弱さ、みじめさに。
ここまでされて、やっと本当の自分に気付くなんて…。

冷え切った頬に、熱い雫が走った。

大好きな恋人を失った哀しみのために流す涙なら、まだ可愛い。
けれどもこれは、自分の弱さを思い知った、苦い涙。
最悪な自分に向けられた侮蔑と憐れみと、失望の涙だ。

企画営業部の精鋭。リサーチ力随一の軍師様。自他ともに認める仕事の虫。バリバリのキャリアウーマン…並べ立てるほどに、白々しくて我ながらあきれてくる。

結局、私なんて、仕事もプライベートも選ぶことができず、中途半端な気持ちのまま恋人を自分勝手に利用した卑怯者じゃないの。なにがキャリアウーマンよ、気取ってるんじゃないわよ、ただの臆病者のくせに。
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