オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
都がゆっくりと身じろいだ。起こしてしまっただろうか、と思うやいなや、小さな頭がごそごそと俺の腕の中でかぶりを振る。


「あっつい…柊介ぇ」

「おはよう、みやこ」


その可愛い様に胸がかきむしられるような心地がして、寝ぐせだらけの髪に口付けを落としながら囁くと、都がはっとしたように俺を凝視し、顔を赤くして上目遣いで睨んできた。
朝から睨まれるようなことをしたつもりはないのだけれど、この子はどうしようもなく勝気だから、俺に寝顔を堪能されていたのが面白くないのだろう。


「…はよ、柊介」


返ってきた声も、少しぶっきらぼうだ。
そんなところも可愛くて、俺は温かい都の身体をすっぽりと腕におさめる。
すると都は大人しく抱き締められ、俺の背中に腕をまわしてくれる。
たまらなくいじらしくて、俺は幸福な吐息をつきながら、腕に力を込める。
朝の静寂の中で、心が溶け合うのを感じる。
短いキスをして、俺達は互いのぬくもりの心地よさに目を閉じて、まどろみに身を預ける。

でも、起きなくては。今日からまた仕事だ。

俺は微かに吐息する。
ああ、月曜の朝がこんなに憂鬱だなんて知らなかった。




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