オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
※
その後、会社に報告し、私と柊介の婚約は改めて上司の口から社内に知らされて正式なものとなった。
結婚式は六カ月後に執り行い、その後入籍という流れになっている。
本音を言うと、報告はもう少し先延ばしにしたかった。
結婚式の招待状を配布する時点で報告したかったのだ。
なのに、こうして前倒しすることになったのには、わけがあった。
それが『目撃情報』というやつ。
つまり、私と柊介の関係がバレてしまったのだ。
昨日の晩のこと。
人気のないオフィスに、日中では有り得ないような音が響いていた。
「ん……ふっ……」
唇と唇が重なり合う音。
舌と舌が絡み合う水音。
そして、漏れ出てしまう、濡れた声。
普段働いているオフィスで耳にするにはあまりに淫らな音に羞恥を覚え、私は陶酔に溺れそうになるのを堪えて、抱き締めてくる男の肩に手を添える。
「だ、めよ、柊介……誰かに見られたら……!」
「ん……」
答えるものの柊介はやめようとしない。
拒む私の顎に言葉を封じるように手を添え、もっと深く口付け、その大きな身体の重みで私をデスクに押し付け、拘束する。
二十一時。
企画営業部のオフィスは珍しくみんな帰宅し、私一人が残っていた。
そこへやって来たのが柊介で、同僚同士の他愛のない会話もほどほどに、二人きりなのをいいことに恋人モードに切り替えて口説いてきた。
「こんなチャンス、逃せないだろう? 都が社内で一人でいる時なんて滅多にないんだから」
「……それって、一人でいたなら日中でも手を出すつもりでいたってこと?」
「ご明察」
「はぁ……!? っ……んっ、やっ」
首筋の弱いところに唇を這われ、非難の言葉を封じられる。
丹念に啄んでいくその動きには、キスだけで終わるつもりはないという意思が孕んでいた。
「愛してる、都……」
低い色気のある声が首筋から伝わってきて、ぞわぁと甘苦しい刺激が全身を走る。
柊介は日に一度は愛を告げないと気が済まない。
クールを装いつつも私はその甘たるい溺愛にはてんで弱く、囁かれた瞬間にズクズクと身体が昂ってしまって、
「あっ……んっ」
ブラウスのボタンをたやすく片手で外され、胸の谷間に口付けられただけで、声を漏らしてしまう。
「だ、だめ柊介、だめだってば……」
「都の『だめ』は『して』だろう?」
「なに言って……ああやだ、もっ、はなれてっ」
鎖骨を食む唇からくぐもった意地悪な笑いが伝わってきて、私はぶるりと鳥肌を立てる。
肩に両手を当てて押し除けようとするけれども、柊介の求愛にあっさりと絆されきってしまった身体は力を出せない。
「……一度でいいから、オフィスで都を抱いてみたかった」
デスクにゆっくりと上半身を押し倒されてしまう。
カシャリ、と書類が皺になる音が聞こえる。
優しく、けれども力強く拘束される手首に欲望に染まりきった柊介の意思が伝わってきて、理性が甘く痺れる。
誰も来やしない―――根拠のない判断に従い、柊介が与えてくる快感に溶けていく。
コツ……リ
不意に、足音が聞こえた。
はっとなって振り向くと、驚愕の表情を浮かべた後輩が、私達を凝視していた―――。
その後、会社に報告し、私と柊介の婚約は改めて上司の口から社内に知らされて正式なものとなった。
結婚式は六カ月後に執り行い、その後入籍という流れになっている。
本音を言うと、報告はもう少し先延ばしにしたかった。
結婚式の招待状を配布する時点で報告したかったのだ。
なのに、こうして前倒しすることになったのには、わけがあった。
それが『目撃情報』というやつ。
つまり、私と柊介の関係がバレてしまったのだ。
昨日の晩のこと。
人気のないオフィスに、日中では有り得ないような音が響いていた。
「ん……ふっ……」
唇と唇が重なり合う音。
舌と舌が絡み合う水音。
そして、漏れ出てしまう、濡れた声。
普段働いているオフィスで耳にするにはあまりに淫らな音に羞恥を覚え、私は陶酔に溺れそうになるのを堪えて、抱き締めてくる男の肩に手を添える。
「だ、めよ、柊介……誰かに見られたら……!」
「ん……」
答えるものの柊介はやめようとしない。
拒む私の顎に言葉を封じるように手を添え、もっと深く口付け、その大きな身体の重みで私をデスクに押し付け、拘束する。
二十一時。
企画営業部のオフィスは珍しくみんな帰宅し、私一人が残っていた。
そこへやって来たのが柊介で、同僚同士の他愛のない会話もほどほどに、二人きりなのをいいことに恋人モードに切り替えて口説いてきた。
「こんなチャンス、逃せないだろう? 都が社内で一人でいる時なんて滅多にないんだから」
「……それって、一人でいたなら日中でも手を出すつもりでいたってこと?」
「ご明察」
「はぁ……!? っ……んっ、やっ」
首筋の弱いところに唇を這われ、非難の言葉を封じられる。
丹念に啄んでいくその動きには、キスだけで終わるつもりはないという意思が孕んでいた。
「愛してる、都……」
低い色気のある声が首筋から伝わってきて、ぞわぁと甘苦しい刺激が全身を走る。
柊介は日に一度は愛を告げないと気が済まない。
クールを装いつつも私はその甘たるい溺愛にはてんで弱く、囁かれた瞬間にズクズクと身体が昂ってしまって、
「あっ……んっ」
ブラウスのボタンをたやすく片手で外され、胸の谷間に口付けられただけで、声を漏らしてしまう。
「だ、だめ柊介、だめだってば……」
「都の『だめ』は『して』だろう?」
「なに言って……ああやだ、もっ、はなれてっ」
鎖骨を食む唇からくぐもった意地悪な笑いが伝わってきて、私はぶるりと鳥肌を立てる。
肩に両手を当てて押し除けようとするけれども、柊介の求愛にあっさりと絆されきってしまった身体は力を出せない。
「……一度でいいから、オフィスで都を抱いてみたかった」
デスクにゆっくりと上半身を押し倒されてしまう。
カシャリ、と書類が皺になる音が聞こえる。
優しく、けれども力強く拘束される手首に欲望に染まりきった柊介の意思が伝わってきて、理性が甘く痺れる。
誰も来やしない―――根拠のない判断に従い、柊介が与えてくる快感に溶けていく。
コツ……リ
不意に、足音が聞こえた。
はっとなって振り向くと、驚愕の表情を浮かべた後輩が、私達を凝視していた―――。