オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
バスが止まって部活生らしい女の子が一人乗ってきた。
するとウトウトしていた女の子が、寝ぼけ眼で小さく笑っておはよう。
おはよう、と返して隣に座る部活の子。
囁きあいのような女の子たちの会話が、コロコロとバスの中に流れる。
すこし懐かしさを覚える、どこにでもある朝の光景。

不思議だな。

新鮮な光景と、平凡な光景が入り混じっている。
なんだかとてもおもしろくて、ほっこりしあわせな気持ちになって、胸が温かくなる。

なんてほんわりした気分に浸ってぼんやりバスに揺られていると、私も学生さんよろしく、誘われるように眠くなってきた。

バスはゆっくりと進む。止まっては進み、進んでは止まる。
グワングワンな揺れが、さらに深く眠りへ誘い込んでくる。
そこへ、ちょっと強めのブレーキが…。


「…っと」


向居に肩にもたれ掛ってしまった。


「ごめん」

「いや」


くすり、と向居が微笑んだ。


「まだ眠そうだな」


「そんなことないわよ」と気を張ろうとしたら、向居の指が、私の頬をやさしくさすった。


「着くまで寝ててもいいぞ」
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