それでもいいって、いったじゃん。

彼女は一度背筋をピンと伸ばしたら、
ゆっくりとこちらを向いた。
それは、先ほどの脆さを感じさせない立ち振舞だった。


暗かった空間はパッと明るくなり、
彼女の顔が一瞬だけ見える。


「男と女は、許されない世界だからこの世を去った。あなたは、許されないまま、生きていく方法を探してる。中途半端じゃなく、貫き通さなきゃ。」



その顔は紛れもなく、幼いころの私だった。目を見開いた私をよそに、彼女は徐々に成長していき最後に全く同じ見た目になると、優しく笑った。


私なんかが幸せになってはいけない。
そうやってまた、自分を潰すのは簡単よ。


と、彼女はまた、あどけない顔で笑う。


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