ホ・ン・トに?
例え、王子様はいたとしても、私の元へは来てくれないと気付いたのは大学の入学式。



同じ年齢とは思えないくらい大人びた子達。



ファッション雑誌から出てきたようなお洒落な子達。



テレビに出てそうなくらい綺麗な子達。



そんな人達に囲まれた私は、地味で冴えない女。



沢山の人が集まる中で、きっと私は誰の目にも写っていない。



地味で冴えない私は空気のような存在だった。



今まで、私がいた世界とはまったく違うこの場所が、私には落ち着かなくてたまらない。



入学式を終え、登校日になっても、その気持ちは変わらなかった。



明らかに場違いな私は俯いて歩くことしかできない。



「ねぇ、1人なら、お昼一緒に食べない?」



地面とにらめっこしていた私の頭上から声がする。



ゆっくりと視線を上げてみると、綺麗な子が微笑んでいた。



「えっ?!私?」



「そうだけど。先約あった?」



ブンブンと左右に首を振るあたしを見て、彼女は「じゃあ行こう」と笑った。



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