俺様副社長の溺愛秘書
「俺、大切な事を忘れてた。」


「忘れてた?」


「一生に一度の事を。」


「………。」



尚輝が私の手を離して、自分のポケットに手を入れた。


何となく分かってきた雰囲気に鼓動が速まる。


左膝をついた尚輝が掌に乗せた箱を私に見せる。



「尚輝?」


「朱里、結婚しよう。」


「………。」


「ずっと一緒にいて欲しい。」


「………。」


「朱里、ずっと愛してる。」



視界がボヤける。頬を伝う涙に気付き、手で拭っていく。



「泣くな。嬉しくないか?」


「嬉しい。」


「ほら、返事は?」


「うん。」


「うん?」


「はい、ずっと一緒にいて。私も尚輝を愛してるから。」



尚輝が立ち上がり、指輪を嵌めてくれる。その姿を目に焼きつける。



「問題解決だ。」


「問題なの?」


「一生に一度の大切な事だ。」


「尚輝、ありがとう。」



尚輝に抱き締められた。同じように私も抱き締め返した。
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