俺様副社長の溺愛秘書
「朱里、結婚しような。」


「うん。」


「取り消しは受け付けないから。」


「うん。尚輝もだよ。」



耳元で囁かれる甘い声に目を閉じた。抱き締められる温もりに擦り寄る。



「今日、泊まるか?」


「う~ん、明日も仕事だし。」


「服はあるだろ。」


「そうだけど。」


「週末、泊まってない分、今日は泊まれ。」



強引な尚輝にクスリと笑った。



「そんなに泊まって欲しい?」


「プロポーズの日ぐらい、ずっと一緒にいたくないか?」


「意外とロマンチスト。」


「前からだ。」


「かも。」



尚輝の腕が緩められ体を離した。繋がれる手に力が籠められる。



「指輪、外すなよ?」


「会社だと目立つ。」


「虫除け。」


「必要ある?」


「ある。」



尚輝と車へと戻っていく。


懐かしい高校、私達の苦い思い出の場所、そして再スタートした場所。


そして―――――



一生に一度の思い出。



「尚輝、ありがとう。」


「ああ。」



薬指に光るダイヤの指輪を見つめた。
< 131 / 167 >

この作品をシェア

pagetop