俺様副社長の溺愛秘書
「先とか後とか………はっきり言えば関係ない。」


「関係ない?」


「あるのは気持ちだろ。俺はよりを戻した時から結婚したかった。気持ちで言えば先だ。」


「………。」


「指輪も前から用意してた。いつでも朱里に嵌められるように。」


「…………。」


「同棲するから婚約した。確かにそうだが、『結婚したい』気持ちは別荘でも伝えた筈だ。忘れたか?」



尚輝の言葉に首を横に振った。勿論、覚えてるに決まってる。



「覚えてるよ。」


「朱里が『ついで』だと言うのも理解できるが、俺はそんな軽い気持ちで婚約したり、指輪を渡したりしない。」


「尚輝。」


「指輪だって、メチャクチャ悩んで渡したし。婚約だって俺は嬉しくて仕方ない。堂々と俺の女だと自慢できる。」


「自慢って………。」


「自慢だろ?『今、俺は幸せなんだ』。誰もが思うだろ?」



『幸せそうですね。』


今日、何度も掛けられた言葉を頭に思い浮かべる。
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